本当は

ここでは思考しか残らない

顔も名前も地位も名声もなんにもない

そして性別すら大して意味をなさないのだと思った

 

リアルでは性別というのは常に大きな山のようで

男は男でしかなく、女は女でしかない

ゆるぎない 違いない

 

でもここは違った

心がそうありたいと思ったらそうなる世界では

その境界線はもはや見えなくなっていた

こうありたいと思ったその瞬間から

もう性のしがらみはなくなった

 

体を選んで、声を選んで

心は望むままで

じゃぁ本当の性なんて残るのだろうか

 

本当は男でしたって

心は可憐な花で

本当は男でしたって

言葉はルビーの玉で

本当は男でしたって

体はユリのようで

本当は男でしたって

大木の安らぎを求めても 

 

異性を求めるのは本能だろう

理屈では動かない

でもここでは本当の性別がどちらかなんて関係ない

掛け値なしに人の心を 魂を

そのものを好きになれる

 

どんな自分でも自由で

誰を選んでも自由で

それはきっと危うい自由で

いまにも崩れそうだけど

この自由の中に僕らは本当の「好き」という感情を

見つけるのかもしれない

 

本当は女でしたって

心は熱い炎で

本当は女でしたって

言葉は海の青で

本当は女でしたって

体はタカのようで

本当は女でしたって

一輪の花を求めても

 

どんな自分を描いても

どんな人を求めても

それはどこまでも自分で

正しさなんてなくて

心はとまらなくて

ありのままの自分を

いつまでも愛する自分でいて

ありのままの貴方を

そのままで愛する自分でいて