You:あなたはだれ?
???:わからないの
他にも似た状況の人がどこかにいるのかもしれない。
力を合わせればなんとかなるかもしれない。
しかし、意外にもその声はあっさりと答えを示してくれた。
???:でもここのことはわかる
???:ここは、だれかがここにいたいと
???:つよくねがってうまれたせかい
『そんなの、マンガやアニメじゃあるまいし…』
『これだってゲームだろ?なんでこんな…』
超常的な話に、不安の声が上がる。
???:のぞむなら
???:ここにいつづけることもできる
???:そんなせかい
『そりゃいいや、死ぬまで遊べそうだ』
軽口をたたいた彼は隣のパートナーにたたかれた。
しかし、それは誰かがどこかでは思っていることだ。
口には出さずとも、心のどこかで。
自分もそうだった。
???:でもここにのこるということは
???:じぶんをうしなうということ
???:わたしもじぶんのなまえをおもいだせない
『えっ』
隣のフレンドが声を漏らした。
おそらく同じことに気が付いたのだろう。
現実の自分のことが霞がかかったかのようになっていた。
さっき食べた夕飯の味、立ちっぱなしの足のしびれ、
使っているスマホの色、嫌いな上司の名前。
試しにさっきまで駄弁っていたことを話し合ってみたが、
思い出せないことがいくつもあった。
???:かえるのはかんたん
???:ここにのこりたいとねがったひとが
???:かえりたいとねがえばいいの
???:あなたたちは
???:どうする?
『時間がない』
焦ったフレンドが軽口をたたいた一人に詰め寄った。
お互いが疑心暗鬼になっていった。
『君のせいで迷惑が掛かってるんだ』
『だれが、いったいこんな』
しかし、僕は一人、思い当たる人がいた。
「何かあったの?」
僕は声をかけた。
つづく